160 - Master of None S01 / マスター オブ ゼロ シーズン1
見てた。面白い。刺激がたっぷりのドラマの類ではないが、愛すべき、好きなコメディ作品の1つになった。
マスターオブゼロとはなんのこっちゃといった感じのタイトルだが、原題はMaster of None で、調べたら一芸に秀でていないとか、なんでも並にできてしまうとかの、器用貧乏みたいな意味合いのようだ。
内容はというと、30才のインド系アメリカ人二世の主人公のユニークな価値観を、アフリカ系アメリカ人とは違うマイノリティであり、この現代に生きること、友達、親、恋人、そして自分の将来などを押し付けがましくなく、軽いタッチで、それをクリーンで高級感のある映像で描いていく。この辺の組み合わせが自分には新鮮だった。
最終話で、このドラマのまとめというか、締めくくりにシルヴィア・プラスの「ベル・ジャー」からの引用がモノローグで語られる。
目の前で緑色のイチジクの木の枝のようにのびる人生の選択肢。
枝先についたそれぞれの紫色の実はどれも素敵な将来だ。
このイチジクは夫。マイホーム。そして子供たち。
別なイチジクは有名な詩人。
もう一つは賢い教授。
もう一つはヨーロッパ、アメリカ、南アメリカ。
奇妙な名や変わった仕事を持つ恋人たち。
そんなイチジクのむこうにはもっといろんなイチジクがぼんやりと見える。
わたしはイチジクの木の前に座っている。
おなかがすいているのに、どのイチジクを選べば良いかわからない。
全部食べてみたい。
ひとつを食べれば他はたべられない。
決められずに座っていると
イチジクには皺がきざまれ、黒くしぼみ、ひとつ、ひとつ、またひとつと
足下に落ちていく。
この本は1963年に書かれたようだが、まさに、人生って適切なタイミングで選択を行うことの連続で、そうなんだよなぁ、と思った。